医療の産業化
今日の午前中は「デジタルヘルスの過去から未来へ」をテーマとした第2回デジタルヘルス学会学術大会に参加した。
場所は御茶ノ水のデジタルハリウッド大学院だ。
北原国際病院等を経営する医療法人社団KNI理事長、北原茂実理事長の講演を拝聴した。
「医療の産業化」
医療の産業化
この言葉を聴いた時、僕は鳥肌が立った。
心がザワザワした。
こんな発想を持ったお医者さんが日本にいたのかと思った。
何年か前にテレビ東京のカンブリア宮殿を視聴した事を思いだす。
改めて公式サイトを見ると「病院らしくない病院」と紹介されていた。
何が病院らしくない病院とは、全てが"患者"の目線でつくられた病院だという。
面白い。
この話を患者目線で聞いたなら、自分も脳卒中で倒れるリスクはある中で、もちろん倒れたくはないが、、
もし倒れた場合は入院したい病院だと思った。
例えば八王子市にある、主に脳卒中患者を対象とする北原リハビリテーション病院の敷地内には何と天然温泉がある。
レストランでは、ビールやお刺身が楽しめる。
建物の内部は1階が草原、2階、3階が森林、4階が宇宙とテーマづけされ、中庭には生きた木々が生い茂るパティオ。
医療を中心とした壮大な社会実験
この病院の設計は、「八王子モデル」と銘打った北原理事長が掲げるコンセプトの中の一つ。
どうやら、おもてなしを重視してホテルライクにした。という単純な理由ではない様だ。
ここには、北原先生の思想やデザイン設計が詰め込まれているし、未来に対する壮大な実験の場でもある。
この八王子モデルのプレスリリースを読むと、サスティナブルな『医療』を実現すると説明がある。
https://join4future.com/report/8785/
以下、プレスリリースより引用する。
今後一層進む少子高齢化と、同時に問題化する社会保障財源の枯渇の中で、医療・社会の機能を維持するための事業で、以下4つのシステムにより構成されています。
ヒーリングファシリティ:
人と自然と技術の調和により、そこに身を置くだけで自然治癒力が高まって健康になれる空間です。ストレスを除去し、病気になる人の数を減らすことを目指しています。
敷地内には農場があったり、動物を飼っていたりと、実験的な事も行われている。
動物と触れ合う事によるセラピーや、農場では農作業によるリハビリと収獲された野菜は病院内レストランで消費される。
デジタルホスピタル(注1):
IT/AIを駆使してそれ自体が患者の状態を把握し治療する機能を持つ、全自動運転化を目指す病院です。
診療レベルの向上と業務効率化による医療現場の生産性を飛躍的に向上させることを目指しています。
例えば、看護師がイヤホンマイクで患者の状態をAIに話すと、最適な解をAIが提案する。
しかも、テキストとして記録されるため、カルテや申し送りを書く時間が不要になり生産性が飛躍的に高まる。これはNECと共同で開発している取り組みだ。
デジタルリビングウィル:
医療・生活情報や急病時に受けたい医療、その後送りたい生活、行いたい葬儀など、意思を登録するデータベースです。北原トータルライフサポート倶楽部(注2):
デジタルリビングウィルに登録された情報をもとに各人が適切なサービスを受けることができる会員制のサービスです。
会員は急な病気になったときなどに協力医療機関で速やかな対応を受けることが可能になります。
また、成果保証型リハビリテーション(医療保険の枠を越えた利用者独自の目標を達成するためのリハビリテーション)」や「なんでもサポートサービス(介護保険適応外の生活サポートサービス)」などを受けることができ、救急医療だけでなく、病院を退院した後の生活全般を支えていくためのサービスとなっています。
これは病院を中心とした、ライフサポートの壮大なプラットフォームだ。
北原先生はアマゾンやグーグルの事例を挙げ、この様なプラットフォーム化が必要なのか理由を説明された。
経営や制度が在り方を歪ませていないか
さあ、治療院目線で話を聴いた時には、リハビリの話が凄く参考になった。
治す為にコミットしたリハビリに取り組んでいるという事だ。
多くの病院では3ヶ月入院するところ、北原国際病院では1ヶ月で退院させる。
なぜ他は3ヶ月なのか。
それには2つ理由があるという事だった。
まず1つ目の理由は、高齢の患者は自宅より居心地が良いから。
家では厄介者扱いされているところ、病院では若い人から優しくされる。
なるほど。。。
2つ目の理由。それは病院の経営面。
長く入院させた方が売上が立つから。
この様に患者と病院の利害が一致しているのだ。
うーん、歪んだ構図となっている。。。
治療院の在り方は?
北原病院はこの逆だ。
「治したい人、早く退院したい人を診る。」
この話を聴いて思った。
整骨院・治療院業界では何が起きているのか。誰もが経営的な理由から一人の患者を長く通わせる事が目的になっていないだろうか。
この治す事を目標にするという、当たり前の事が行われているだろうか。
この問いに、医療の本質というか、正しい「在り方」がある様に思えた。
医療法人社団KNIの公式サイトには、この様なメッセージが掲げられている。
「あの病院に行けばなんとかしてくれる」
北原病院グループはあなたの「あの病院」を目指しています。
「あの○○」と言われる様になる事が大切。
これは、経産省・始動の講義で秋元康さんが何度も言っていた言葉だ。
北原先生は「良い意味で」医者らしくない考えを持った方だ。
治療院業界にも変化が求められている。
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プロフィール
- 整骨院・治療院業界で17年。IT活用で業界活性化と価値向上を目指す活動中。始動 Next Innovator 2018(第4期)、中小機構BusiNest「アクセラレーターコース」受講。妻と2児の4人家族。趣味は自転車。
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