たかが焼き鳥屋で世の中を変えたい

「鳥貴族」の創業者で代表取締役社長の大倉忠司社長の講演を聞いた。
ここでは、講演の内容を網羅する事は出来ないので、特に僕の心に残った事を記しておきたい。

たかが焼き鳥屋で世の中を変えたい

創業時から全国チェーンを目指した。
従来と同じ事をやっても大きくならない。

創業当時の焼き鳥屋といえば、赤提灯でカウンターだけの席。若い女性の2人組が入って来たら店員にも客にもジロジロと見られた時代。それを大倉社長は変えようとした。鳥貴族の名前の由来は、お客様を貴族の様に大切にする。という意味らしい。

創業当時、33年前に決めたコンセプトが、全国665店舗まで拡大した今でも変わらずに脈々と続いている。
そのコンセプトがいかに正しいものであったかが証明されたのだと思う。

やきとり一筋で30年。2014年にJASDAQ上場、2016年には東証一部上場した企業の社長が目の前にいる。

(いたばし起業塾、毎回ゲストが凄すぎ!)

いたばし起業塾・鳥貴族の大倉社長

味へのこだわり、サービスのこだわり

驚いた事に、これだけの規模になっても、串打ちは各店舗で行っているそう。
「効率の悪さが強み」と仰っていた。

・価格のこだわり

そして、298円均一の感動の価格。安さと、期待を上回る美味しさを感じてもらう価格設定だ。
そして、単一価格にする事でオペレーション(会計)のやり易さを追求。

・商品のこだわり
鶏肉は創業時から国産。チルドを使用しており、更に2年前より鳥以外の全食材を国産にした。

タレも自社工場で製造。かつて食品会社へアウトソーシングを試みたが、どうしても味が落ちてしまうため、断念したという事。
保存料などがどうしても必要になるからだ。

・サービスのこだわり

元気でホスピタリティあふれる接客
ウルサイという客もいるが、気にせずに元気でやる様に指示しているとの事。

大倉社長は続けて次の様に説明する。

「チェーン店の良さは、安心感ですよね。
味や接客が想像できますから。
一方で個人店の特徴は、国産材料と店舗での串打ちです。手作りの美味しさですよね。
この2つの特徴を兼ね揃えたのが鳥貴族の特徴なんです。」

なるほど、明確なコンセプトで伝わりやすい。

理念の浸透

<永遠の理念>
・鳥貴族のうぬぼれ
・焼き鳥屋で世の中を明るくしたい。

<永遠の使命>
外食産業の社会的地位を向上

「この2つを掲げたから上場までいけたのだと思います。」

理念と使命。しかも永遠という言葉が付いている。

短い言葉ではあるが、深いく、世の中の課題が凝縮されて詰まっている。

大倉社長は、「私が不在になっても、会社は永続的に続く」と仰っていた。

鳥辞苑(クレド)

クレドの名前は広辞苑を文字って、「鳥辞苑」というそう。経営者にはこういうユーモアも大切だと思う。

鳥貴族の共通の価値観を明文化したTORIKIWAY。
社員が幸せになるために持つべき価値観と経営者の心得。
そして、次の様な言葉が書かれていると説明してくださった。

・正しい人間
善悪の判断できるはずなのに、誘惑欲望に負けてしまう
→正しく無かったら幸せになれない。

・利他の精神
他人の繁栄を計らずして、己の繁栄はない。自己犠牲の精神。常にお客様の立場に立つ。

・プラス発想
人も環境も良いところを見ていく。小さな成功体験の積み重ね。ピンチをチャンスに。

・自己責任
どうしても他責にしがち。人間は。→責任は自分にある。
あの店長の下ではやりたくない。教えてくれない。
あのアルバイト、全然仕事を覚えない。
他人の責任にしたら成長しない。モチベーションの維持も自分の責任。
社長同士の集まりでもある。社員の文句、景気のせい。→すべて社長の責任。
みんなが自己責任と考えたら、良い組織になる。

僕は強く共感した。

講演後の質疑応答であった「社員が思い通りに動かない場合はどうお考えになりますか?」という趣旨の質問に対し、
「51%出来れば良いと考える様にした。49%はその人の個性だ。と考える。」と答えられた。

これを聞いて自分の事を振り返る。

かつての僕は、部下にプレッシャーばかり与えていたと思う。自分の思い通りに動かないと、注意ばかりしていた。自分自身もストレスを感じていた。そして部下との心の距離は離れていった。

僕の悪い所だという事は理解出来ていたので、独立してから整骨院を経営した時は上手くやろうとコントロールしていた。

でも社員に対する心の中の口癖は「何で分かってくれないの?」「何で出来ないの?」いつの間にか、心の中だけではなく口に出して言っていた。

大倉社長の様に大きな心を持ちたい。いや、持たねばならない。

部下のせい、環境のせい、人間は弱い心を持っているので、上手く行かないときは何かの責任にしたくなる。

これは特に経営者にとって一番いけない思考だ。

志を持ち続ける事が出来たから

大倉社長は仰った。

33年間の長きに渡り継続できたのは、「諦めなかった」から。
「志を持ち続ける事が出来た」から。

自分を信じ続ける事が出来た。
根拠のない自信があった。

上場した社長はみんな持っている自信。なんでもプラスに考えている。
だから人が付いてくるのではないか。
そして自分のモチベーションを自分で維持できる事が出来んです。

そして、もう一つの秘訣は、

お金を追わなかった事。私利私欲ではなかった。
例えばバブル期に沢山持ち込まれた、不動産投資の話は全部断った。
設けたいからやっている訳ではない。

だから宝くじは買わない。自分は運が良いから当たってしまうので買いません。

 

「志を持ち、何があっても諦めない事。」
僕はこの話を聞いて思った。
この言葉は、過去に参加した起業塾で講演された、ある社長が私に言った言葉。

そして、私利私欲の為に仕事をしない。利他の心を持ち続ける事。

成功する人が持っている共通の考え方だ。

 

僕はすっかり鳥貴族のファンになった

講演が終わり、帰宅途中の駅近くに鳥貴族があったので、食事をした。

創業者の想いが詰まった焼き鳥は、知らないで食べるよりも数倍美味しく感じた。

実は鳥貴族に入るのが初めてだったが、とても柔らかくて美味しかった。

この値段でこの味は確かに感動する。

店長に大倉社長の講演を聞いてから来た事を話したら、店内に同じ事を言っているお客さんが沢山来ているという事でだった(笑)

店長も鳥貴族の事、会社、大倉社長の事が好きそうだ。

嬉しそうに、「こだわり」について語ってくれた。

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プロフィール

小林 靖
整骨院・治療院業界で17年。IT活用で業界活性化と価値向上を目指す活動中。始動 Next Innovator 2018(第4期)、中小機構BusiNest「アクセラレーターコース」受講。妻と2児の4人家族。趣味は自転車。